貴婦人の集い

マリーとフランの元へ戻ると、二人は机のノートを囲んで真剣に話し合っていた。
顔を上げたマリーがこちらに気付いて、ガタンと席を立つ。

「あーステラ! 大丈夫だった? とりあえず、こっちこっち!」

「おかえりステラ。クリス様からお祈りはしてもらえた? 難易度激高だったでしょ」

招かれて、勧められた椅子に座ると、両側に二人が椅子を寄せてくる。
大丈夫だった?ということは、二人もクリスの近寄りがたさは理解しているのだろう。

「あ…はい。最初は怒らせちゃいましたけど、なんとか」

ガタタ、と椅子と金髪を跳ねさせて距離を詰めてきたマリーが興奮気味に食いついた。

「うっわ怒らせたの!? えっ、えっ、やっぱ敬語で怒るの? 壁ドンとかされた!?」

「え、ええと、敬語で怒ってました。壁ドン…? はわかりませんけど、特に何もされてないです」

「うっは敬語たまんね! 白米もってきて! 米びつごと!」

「落ち着いてマリー、ステラが引いてる」

そう、フランの言う通り私は引いていた。
時々こうしてスイッチが入るマリーが、少し怖い。

「うへへ…ごめんごめん。ちょっとおねーさん興奮しちゃった。さて気を取り直してっと…、最後は違う意味で難易度が高いのよねー」

「違う意味で…?」

「いいえマリー、その点については任せて」

私が首を傾げていると、フランが手帳を取り出した。
そしてパラパラとめくり、細かい文字がびっしり書いてあるページを開く。

「アルベール様は今の時間、裏庭で日向ぼっこをしてる」

「!? フ、フラン、あなた、アルベール様推しだったの…!?」

「あ。そういえば、アルベール様ってあまりお見かけしないですね」

「そう、そこがこのミッションのネックになると思って、とある猫好きに彼のルーティーンを聞いておいたの。別にアルベール様推しってわけじゃない、このミッションのため。ひいては、このミッションを楽しみにしてるマリーのため」

フランがクールに語ると、マリーがフランの肩を抱く。

「ありがとう、ありがとうフラン…! ステラが無事にミッションを終えたら、三人で祝杯をあげようねっ!」

「うん。ステラはジュースで、あげようね」

「は、はい…」

二人に手を握られて、私達三人は固く握手を交わすのだった。